【「どこまで言う?どこまで黙る?」距離感に迷ったとき】“正しさ”より“関係性”を選ぶ場面もある

介護の現場では、正しい意見を持っていても、それをそのまま口にするかどうか迷う場面があります。たとえば、ケアの方法や利用者への接し方について「もっとこうしたほうがいいのでは」と思っても、それを伝える相手との関係性や職場の空気感を考えると、口に出せないこともあるでしょう。


本来、良い介護を目指すなら意見交換は必要です。しかし、「言ったことでその人との関係がぎくしゃくしないか」という不安が先に立つこともあります。特に新人や中堅職員の立場だと、「先輩に対して指摘するのは失礼では?」と感じてしまう方も多いようです。


また、利用者さんに対しても、あえて言わないほうがよいことがあります。たとえば、本人にとって負担になりそうな真実や、現実を直視することで落ち込んでしまうような情報。言葉にすることで相手の心を守れなくなるなら、黙って見守ることもひとつの選択肢です。


そのような場面では、「正しさ」を伝えることよりも、「関係性」を保つことのほうが大切だと感じる瞬間があります。もちろん、常に黙っていればいいという話ではありませんが、すべてを言葉にすることが“良い関係”に直結するとは限りません。


かいご姉妹サロンでは、こうした迷いを言語化して共有することで、自分だけでは思いつかなかった視点に気づけることもあります。「あのとき、自分ならどうするか」を話し合える場があるのは、現場で働く私たちにとって心強いことだと思います。


どこまで言うべきか、どこまで黙るべきか。それは単純な正解のある問題ではありません。だからこそ、迷いながらも関係を育てていこうとする姿勢こそが、介護の現場では大切なのかもしれません。