言葉を交わすことだけが、伝える手段ではありません。介護の現場で日々向き合う中には、「何も言わなかったけれど、伝わっていた気がする」という瞬間があるものです。たとえば、沈黙の中に込められた気遣いや、目を合わせるだけで通じ合えたような感覚。その静かなやりとりには、言葉以上の意味があることもあります。
利用者さんが落ち込んでいるとき、無理に励まそうとするより、そっとそばにいることで安心を届けることもあります。また、同僚のミスに気づいたとき、すぐに指摘するのではなく、様子を見てから言葉を選ぶ…。そんなふうに「沈黙」を使う判断も、私たちにとって大切な技術かもしれません。
ただし、黙っていればすべてが良いわけではありません。「言わないことで誤解を生んだ」「距離ができてしまった」と感じることもあるでしょう。だからこそ、「この沈黙には意味があるのか、それとも逃げなのか」を自分に問い直すことが大切です。
かいご姉妹サロンでは、こうした「言葉にしなかった場面」について共有できる交流を目指しています。「あのとき黙ってしまったけど、よかったのかな?」「どうすればよかったんだろう?」そんな心の揺れも、誰かと話すことで整理されることがあります。
言葉にするか、しないか。その判断は一瞬ですが、心にはずっと残ることがあります。だからこそ、迷ったときに立ち止まり、自分の気持ちを見つめ直せる場があることが、大きな支えになるのではないでしょうか。
“沈黙”が語るもの。それを大切に受け止めながら、より良い関係を築いていけたらいいですね。