利用者様のベッドを見回っているとき、ふと目に留まる「誰かがそっと直した毛布」。
そのわずかな動作に込められた温もりを感じると、心がやわらかくほどけていく瞬間があります。
言葉ひとつ交わさなくても、確かにそこに“やさしさ”が存在しているのだと気づかされます。
介護の現場では、常に時間との戦いです。
バタバタと動き回る中、長く言葉を交わせないことも多いですが、その代わりに「行動が語る」場面がいくつもあります。
飲みかけのコップを新しいものに替える、濡れたタオルをさりげなく取り換える、滑りやすい床を誰にも気づかれないうちに拭いておく。
こうした小さな行動は、マニュアルには書かれていない、相手を思う心から生まれたものです。
しかし、こうした優しさは目立たないことが多く、誰にも気づかれずに過ぎてしまうこともあります。
それでも、その瞬間に助けられている人が確かにいるのです。
そして、たとえ気づかれなかったとしても、それを続ける人たちの姿勢こそが、現場の空気をやわらかくしてくれます。
同時に、こうした行動を見つけたときは、できるだけ言葉にして感謝を伝えることも大切です。
「毛布、直してくれてありがとうございます」「気づいてくれて助かりました」――そんなひと言が、相手の励みとなり、また次の優しさを生む連鎖につながります。
かいご姉妹サロンでは、このような見過ごされがちな気づかいについても共有できます。
「こんなことが嬉しかった」という投稿に、同じ現場経験を持つ人たちから共感やねぎらいの声が届くことも少なくありません。
言葉にすることで初めて、そこにあった優しさが多くの人に見える形となり、その価値が広く認められていきます。
声に出さなくても伝わる優しさがある一方で、それを感じ取ってくれる誰かがいることも、また大きな力になります。
忙しい日々の中で、そんな瞬間を見逃さず、受け止め合える現場であり続けたい――そう願わずにはいられません。