介護の現場では、遠慮してしまう場面が少なくありません。
先輩に質問したいけれど忙しそうで声をかけられない、利用者にもう一歩踏み込んだケアを提案したいけれど「おせっかいかも」とためらってしまう…。こうした気持ちは、相手への配慮や慎重さの表れでもありますが、時には大切な機会を逃してしまう原因にもなります。
「もっと関わりたい」と思いながらも行動できなかった経験は、多くの介護士が持っているのではないでしょうか。
特に新人の頃は、自分の意見が受け入れられるか不安で、黙ってやり過ごしてしまうことがあります。
しかし、その結果として後から「やっぱり言えばよかった」と後悔することも少なくありません。
遠慮を手放す第一歩は、「相手のためになる行動かどうか」を基準に考えることです。
たとえば、利用者の安全や快適さを守る提案であれば、迷わず伝えるべきです。その際、「自分の意見を押しつける」のではなく、「こうした方が〇〇さんにとって良いかもしれません」という形で共有すれば、相手も受け取りやすくなります。
また、同僚や先輩への遠慮も、職場全体の力を活かすためにはほどよく和らげる必要があります。
「お忙しいところすみません」と前置きしつつ、具体的な質問や相談を短くまとめて伝えると、相手の負担を減らしながら自分の意見も伝えられます。この小さな練習を繰り返すことで、徐々に話しやすい関係性が築けていきます。
遠慮がちな性格は、急に変えることは難しいかもしれません。
しかし、「伝えることで誰かが助かる」瞬間を何度か経験すると、自然と行動のハードルは下がっていきます。その経験は自信につながり、結果的に利用者やチーム全体に良い影響を与えます。
かいご姉妹サロンでは、同じような悩みを持つ介護職の方々が意見交換をしています。
実際に「遠慮していた自分が少し変わったきっかけ」や「声をかける勇気を持つための工夫」など、現場で役立つヒントが集まっています。顔を合わせる職場内では話しづらいことも、オンラインなら安心して共有できるかもしれません。
遠慮は相手を思いやる気持ちから生まれる大切な要素ですが、その一方で、必要な一歩を踏み出す勇気もまた介護の質を高める鍵です。
自分の中の小さな勇気を育てながら、より良い関係づくりに活かしていきましょう。