介護の現場では、利用者様への声かけひとつにも気を使います。
「このタイミングで話しかけていいのかな」「迷惑に思われたらどうしよう」と考えすぎて、なかなか言葉が出ないこともあるでしょう。
あるとき、静かに過ごしていた利用者様の表情が少し曇って見えた瞬間、思い切って「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてみたとします。
その返事が笑顔や安心の表情だったとき、遠慮していた自分の殻が少し破れた感覚が生まれます。
遠慮がちな自分を変えるには、まず「正解を探さない」ことが大切です。
完璧な声かけをしようと構えると、緊張して動けなくなります。必要なのは、利用者様を思う気持ちを優先し、小さな一言から始めることです。
さらに、日々の観察が力になります。
利用者様の表情や動作、声のトーンなどを普段から見ていると、自然と「今なら声をかけられる」というタイミングが見えてきます。観察力は、自信を持って行動するための土台になります。
声かけに慣れていくと、利用者様との関係が少しずつ深まります。
「あなたがいてくれてよかった」と言われた瞬間は、何よりの励みとなり、次の行動への背中を押してくれます。
かいご姉妹サロンでは、「初めての声かけで緊張したエピソード」や「距離を縮める工夫」について話し合うことができます。
他の介護士がどうやって一歩踏み出しているのかを知ることで、自分の行動にも取り入れられるヒントが見つかるでしょう。
遠慮をやめることは、自分を押し通すことではありません。
利用者様を思いやる気持ちを大切にしながら、自分からも心を開いていく――そのバランスこそが、信頼関係を築く大きな力になります。