介護現場では、業務の進め方や利用者への対応について、意見が食い違うことは少なくありません。特に、経験年数や立場、得意分野が違えば、物の見方や判断基準も変わってきます。意見の不一致は、必ずしも悪いことではなく、より良いケアを模索するきっかけになることもあります。
しかし、その瞬間は感情が先立ち、相手の言葉を素直に受け取れないこともあるでしょう。
歩み寄りの第一歩は、「相手が何を大切にしているのか」を知ろうとすることです。自分の意見を守ることに必死になると、相手の背景や意図を聞き流してしまいがちです。たとえば、「急ぎの対応が必要」と考える人と、「安全確認を優先」する人では、どちらも利用者のためを思っているのに、アプローチが異なるだけです。この共通の目的を再確認することが、対立を和らげるきっかけになります。
また、自分の考えを述べる際には、感情よりも事実や理由を中心に伝えることで、相手も受け止めやすくなります。
話し合いが難航する場合は、いったん結論を急がず、時間を置くのも有効です。感情が落ち着くと、相手の意見に耳を傾ける余裕が生まれます。さらに、第三者の視点を加えることで、思わぬ解決策が見つかることもあります。
歩み寄りは、「どちらが正しいか」を決める作業ではなく、「どうすれば双方が納得できるか」を探る過程です。そのためには、自分も相手も尊重する姿勢が欠かせません。
こうしたやり取りを積み重ねることで、意見が違う相手とも信頼関係が築かれ、結果的にチーム全体の連携力が高まります。
もし日々の中で、こうした調整の難しさや工夫を共有したいと感じたら、同じ介護の現場を知る人たちと話せる場を活用するのも一つの方法です。