【忙しい日ほど深呼吸を忘れない】立ち止まることで見える景色

介護現場では、一日の予定がびっしりと詰まり、時間に追われるように動き続けることが少なくありません。

利用者様への対応、記録業務、同僚との打ち合わせ、急な依頼への対応――気がつけば呼吸が浅くなり、肩に力が入りっぱなしになっていることもあります。


忙しさに流されてしまうと、判断力や集中力が少しずつ低下し、普段なら気づけるはずの小さな変化を見落とすことがあります。

場合によっては、ヒューマンエラーやミスにもつながりかねません。そのため、心と体を立て直すための「一時停止」が、意外にも大きな意味を持ちます。

そんなときに役立つのが、ほんの数十秒でできる「深呼吸」です。

鼻からゆっくりと息を吸い込み、口から長く吐き出す――この一連の動作を意識的に行うことで、心拍数が落ち着き、頭の中のざわつきが和らいでいきます。深呼吸には自律神経のバランスを整える作用もあり、気持ちのリセットやストレス軽減に大きな効果があります。


深呼吸を取り入れるタイミングは難しくありません。
例えば、利用者様のケアが一段落した後、書類整理に入る前、休憩室に向かう数秒間など――あえて短い「区切り時間」を自分に与えるのです。

「今からほんの少し、自分のための時間」と意識するだけで、次の業務に向かう気持ちも切り替わります。

この習慣は、自分のためだけでなく、周囲との関わり方にも良い影響を与えます。
深呼吸で整えた後の落ち着いた表情ややわらかな声色は、利用者様や同僚に安心感をもたらします。

穏やかな雰囲気は職場全体にも伝わり、自然と空気が和らぎます。反対に、自分が焦っていると、その緊張感は周囲にも伝わりやすくなってしまいます。

「忙しいからこそ、立ち止まる」――これは、介護という持続力の求められる仕事を続けていく上で、大切な視点です。

深呼吸は特別な道具も時間も必要なく、思い立った瞬間に始められるシンプルな方法です。習慣化すれば、体調管理や感情のコントロールにも役立ち、長期的な健康維持にもつながります。

かいご姉妹サロンでは、こうした「ちょっとしたセルフケアの工夫」や「忙しい中でも自分を整える方法」について、介護士同士で情報交換ができます。

同じ現場で働く人の体験や工夫を知ることで、深呼吸のような小さな習慣も、より実践的で続けやすい形にアレンジできます。

忙しい日こそ、自分を見失わないための深呼吸を。

それは、自分を守るだけでなく、利用者様や職場全体を守るための、大切な一歩かもしれません。