高齢者にとっての「歩く」行為は、ただの移動手段ではありません。
それは、日常生活のなかで最も基本的で、最も大切な「自己決定の表れ」ともいえる行動です。
病院や施設での生活のなかで、自分の意思で歩くことが制限されることがあります。
しかし、ほんの短い距離でも「今日は自分で歩いてみよう」と思えることが、自立や意欲の維持につながるケースもあります。
最近では、ウォーキングを生活習慣に取り入れる高齢者が増えています。
歩数を測る・記録をつける・天候にあわせてコースを工夫するなど、日々の行動がちょっとした楽しみに変わるのです。
また、歩くことには認知機能の維持や転倒リスクの軽減といった、医学的にも重要な効果があるとされています。
単なる健康維持にとどまらず、「今日も歩けた」という実感が、自己肯定感にもつながります。
ウォーキング文化は、身体を動かすだけでなく、心を満たす要素も含んでいます。
高齢者の方が、無理なく、心地よく、自分のペースで続けられるような仕組みづくりが、今後ますます求められるでしょう。