ある春の日、施設の中庭に咲いた小さな花を見つけたご利用者様が、ふと微笑まれました。
その笑顔があまりに穏やかで、私たち職員も思わず足を止めてしまいました。
「もう咲いたんだね」
そう言って、しばらくのあいだ花を見つめる姿に、時間がゆっくりと流れていくようでした。
私たちは、毎日のケアに追われがちですが、ふとした瞬間にこそ、本当に大切な時間が宿っていることを思い出させられます。
あの日の笑顔は、季節の訪れを知らせてくれただけでなく、心にやさしい希望を灯してくれました。